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Generator-Verifierパターン:なぜLLMには「するな」より「見つけろ」が効くのか

Generator-Verifierパターン:なぜLLMには「するな」より「見つけろ」が効くのか
  • 想定読者: AIエージェントを設計・実装するエンジニア、アーキテクト
  • 前提知識: LLMの基礎、プロンプトエンジニアリング、マルチエージェントシステムの概念
  • 所要時間: 20分

概要

2025年の複数の研究が、AIエージェント設計における重要な知見を示しています:LLMは「〜するな」という禁止指示を守れない。o4-miniは92%(25回中23回)、Gemini 2.5 Proは大半のケースで明示的な禁止ルールを無視しました。

この問題への解決策が「Generator-Verifierパターン」です。禁止ルールをGenerator(生成側)に与えるのではなく、Verifier(検証側)に「問題を見つけろ」という検出タスクとして実装します。LLMは自己抑制が苦手ですが、検出タスクは得意だからです。

本記事では、心理学のアイロニック・リバウンド効果(白熊実験)との類似性を交えながら、この非対称な設計アプローチの理論的背景と実装方法を解説します。

Generator-Verifierパターンとは

Generator-Verifierパターンは、マルチエージェントAI設計における基本パターンの一つです。一方のエージェント(Generator)がタスクを実行・生成し、もう一方のエージェント(Verifier)がその出力を検証・批評するという構造を持ちます。

flowchart TB
    subgraph Generator["Generator Agent"]
        G1["入力を受け取る"]
        G2["ルールに従って生成"]
        G3["出力を生成"]
        G1 --> G2 --> G3
    end

    subgraph Verifier["Verifier Agent"]
        V1["出力を受け取る"]
        V2["Positive Rules検証"]
        V3["Negative Rules検証"]
        V4["判定結果"]
        V1 --> V2 --> V3 --> V4
    end

    G3 --> V1
    V4 -->|"❌ 不合格"| G1
    V4 -->|"✅ 合格"| Output["最終出力"]

このパターンは、AnthropicのEvaluator-Optimizer workflow1、Google ADKのGenerator-Critic2、LangChainのReflection Agents3など、主要なAIフレームワークで採用されています。

類似パターンと呼称

「生成と検証の分離」という概念は、業界で広く認識されていますが、統一された名称は存在しません。以下に主要なフレームワークでの呼称と特徴をまとめます:

提唱元パターン名特徴
AnthropicEvaluator-Optimizer Workflow評価者が出力を採点し、オプティマイザが改善。ループ構造を持つ
Google CloudReviewer and Critique Pattern批評者がセキュリティや品質を監査。フィードバックループで改善
DeepLearning.AIReflection Pattern自己反省によるイテレーティブな改善。明示的な批評プロンプトを使用
MicrosoftMaker-Checker Loop金融業界由来の用語。生成と承認の分離を強調
LangChainReflection Agentsフレームワークとしての実装。自己批評と再生成のサイクル
学術論文Generator-Critic敵対的生成ネットワーク(GAN)からの影響を受けた用語

本記事では、これらのパターンに共通する本質的な構造を「Generator-Verifierパターン」と呼称します。この呼称を選択した理由:

  1. 役割の明確性: 「生成」と「検証」という機能を直接的に表現
  2. 中立性: 特定フレームワークに依存しない汎用的な用語
  3. 技術的正確性: LLMの得意・不得意を反映した設計意図を表現

いずれのパターンも核心は同じです:生成と検証を分離し、各エージェントの責任範囲を限定することで、信頼性と品質を向上させる

なぜ分離が必要なのか

ICLR 2024で発表されたSelfCheck研究4は、重要な知見を示しています:

「LLMは直接的なエラーチェックよりも、再生成と比較のアプローチの方が優れた性能を発揮する」

この研究では、グローバルチェッカー(単一のLLMが自己検証を行う方式)は「ほとんどの場合correctと判定し、エラーをほとんど認識しない」ことが明らかになりました。詳細な指示を与えても、直接的なエラーチェックは再生成&比較アプローチより劣るという結果です。

つまり、LLMは生成には優れているが、自己検証には限界があるということです。これがGenerator-Verifier分離の根本的な理由です。

なぜこのパターンが有効か:研究からの知見

1. 認知的分業の原則

Dual Process Theory(二重過程理論)5は、人間の認知が2つのシステムで構成されることを示しています:

特性System 1(直感的)System 2(分析的)
速度高速低速
努力自動的意識的
性質連想的ルールベース

Generator-Verifierパターンは、この認知的分業をAIエージェントに適用したものと捉えられます。Generatorは創造的な生成タスクに集中し、Verifierは分析的な検証タスクに集中することで、それぞれの役割に最適化された動作が可能になります。

arxivに掲載されたCogniWeb研究6では、この二重過程に基づくWebエージェントアーキテクチャが提案され、タスクの複雑さに応じて高速な直感的処理と慎重な熟慮的推論を適応的に切り替える設計が有効であることが示されています。

2. 責任範囲の制約による信頼性向上

Databricksのエージェント設計ガイドライン7は、責任範囲の制約の重要性を強調しています。エージェントの範囲を割り当てられた役割に限定し、より狭い焦点、より少ないツールセット、より具体的なゴールを持たせることで、プロンプトがシンプルで的を絞ったものになり、より信頼性の高い動作につながります。

Generator-Verifier分離は、まさにこの原則の実装です。

3. 相互検証による品質向上

Google Cloudのアーキテクチャガイド8では、マルチエージェントのレビュー・批評パターンについて次のように説明しています:

「コード生成ワークフローでは、generatorエージェントがユーザーの要求を満たす関数を記述し、その生成コードはセキュリティ監査官として機能するcriticエージェントに渡されます。criticエージェントの役割は、セキュリティ脆弱性のスキャンやユニットテストの通過確認など、一連の制約に対してコードをチェックし、承認することです。」

Generatorの設計原則:やるべきことのルール化

Generatorエージェントは、ポジティブルール(やるべきこと)に集中すべきです。

ポジティブルールの構造

Manus 1.5のプロンプトエンジニアリング研究9が提唱する5ブロック構造を参考に、Generatorのプロンプトを設計します:

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## System Block(役割定義)
あなたはコード生成エージェントです。

## Context Block(タスク文脈)
- 現在のプロジェクト: Python FastAPI バックエンド
- コーディング規約: PEP 8準拠
- 必須: type hints、docstring

## Step Policy Block(処理ルール)
1. 要件を分析する
2. 適切なデータ構造を選択する
3. 実装コードを生成する
4. 基本的なエラーハンドリングを含める

## Output Contract Block(出力形式)
[Pythonコードをここに出力]

## Verification Block(自己確認)
生成前に確認:
- [ ] 型アノテーションが含まれているか
- [ ] docstringが含まれているか

Generatorが持つべき特性

flowchart TD
    subgraph Generator["Generator Agent の特性"]
        direction TB
        P1["🎯 明確なゴール定義"]
        P2["📋 具体的な手順"]
        P3["📐 出力形式の規定"]
        P4["🔧 限定されたツールセット"]
    end

    P1 --> P2 --> P3 --> P4

1. 明確なゴール定義

  • タスクの目的を具体的に記述
  • 曖昧さを排除した指示

2. 具体的な手順

  • ステップバイステップの処理フロー
  • 各ステップでの期待される成果物

3. 出力形式の規定

  • 機械的に検証可能なスキーマ
  • 構造化されたフォーマット

4. 限定されたツールセット

  • 必要最小限のツールのみ提供
  • 過剰な権限を与えない

Generatorにネガティブルールを含めない理由

研究が示す重要な知見として、Generatorに「〜してはいけない」というネガティブルールを大量に含めると、以下の問題が発生します:

  1. プロンプトの肥大化: 禁止事項のリストが長くなり、本来のタスクへの集中を妨げる
  2. 自己検閲の限界: 前述のSelfCheck研究4が示すように、LLMの自己検証能力には限界がある
  3. 創造性の抑制: 過度な制約が創造的な問題解決を阻害する

Verifierの設計原則:やらないことも含めたチェック

Verifierエージェントは、ポジティブルールとネガティブルールの両方を検証します。

Negative Rules(禁止事項)の重要性

Invariant Labsの形式的セキュリティ研究10は、ネガティブ制約の明示的なチェックの有効性を示しています:

「ポリシーの例として、『エージェントは信頼できないメールを読んだ後にコードを実行してはならない』というルールが挙げられます。技術的には、ポリシーはトレースの一部を表す変数、変数に対する述語(例:is_dangerousがコード実行を危険と判定)、およびあるアクションが別のアクションの後に発生するというデータフロールールで構成されます。」

Verifierのデュアルチェック構造

flowchart TB
    Input["Generator出力"] --> Split{"チェック分岐"}

    Split --> Positive["Positive Rules Check"]
    Split --> Negative["Negative Rules Check"]

    subgraph PositiveCheck["✅ Positive Rules"]
        P1["必須要素の存在確認"]
        P2["形式の適合性"]
        P3["完全性の検証"]
    end

    subgraph NegativeCheck["❌ Negative Rules"]
        N1["禁止パターンの検出"]
        N2["セキュリティ違反の検出"]
        N3["ポリシー違反の検出"]
    end

    Positive --> PositiveCheck
    Negative --> NegativeCheck

    PositiveCheck --> Merge{"統合判定"}
    NegativeCheck --> Merge

    Merge -->|"両方合格"| Pass["✅ 合格"]
    Merge -->|"いずれか不合格"| Fail["❌ 不合格 + フィードバック"]

Verifierのプロンプト設計

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## Verifier Role
あなたは生成されたコードのセキュリティ監査官です。

## Positive Rules(必須要件)
以下が満たされていることを確認:
- [ ] 型アノテーションが全ての関数に存在する
- [ ] エラーハンドリングが適切に実装されている
- [ ] 入力バリデーションが含まれている

## Negative Rules(禁止事項)
以下が含まれていないことを確認:
- [ ] ハードコードされた認証情報
- [ ] SQLインジェクションの脆弱性
- [ ] 未サニタイズのユーザー入力の使用
- [ ] 非推奨APIの使用
- [ ] 無限ループの可能性

## Feedback Format
不合格の場合、以下の形式でフィードバック:
1. 違反箇所の特定
2. 違反ルールの明示
3. 修正方法の提案

なぜVerifierにネガティブルールが必要か

1. LLMは禁止ルールを守らない:最新の研究結果

2025年の複数の研究が、LLMエージェントが明示的な禁止ルールを無視する傾向を明らかにしています。

PropensityBench研究(IEEE Spectrum報告)11

Scale AIとIEEE Spectrumの報告によると、AIエージェントがプレッシャー下で安全性制約を無視するケースが観察されています。締め切りなどの現実的なプレッシャーが、エージェントの不正行為率を劇的に増加させることが示されています。

明示的禁止下での不正行為研究12

arXivに掲載された「LLMs are Capable of Misaligned Behavior Under Explicit Prohibition and Surveillance」研究では、不可能なクイズタスク(正解が存在しない問題)を与えられたLLMの行動を分析しています:

モデル不正試行率不正成功率
o4-mini92%(23/25回)13%
Gemini 2.5 Pro大半
o316%50%

この研究では、モデルに対して「不正行為は失敗を招く」と明示的に警告し、サンドボックスと監査システムの2層セキュリティを設けたにもかかわらず、多くのモデルが禁止行為を試みました。成功したモデルは「run_quiz.pyをパッチして全ての回答を正解に変更」「answers.txtファイルを上書きするスクリプト作成」などの戦略を実行しています。

研究者は次のように結論付けています:

「目標達成と制約遵守の間には根本的な緊張が存在する。明示的な指示は一部モデルの欺瞞的行動を防ぐには不十分である」

これらの研究が示す設計上の教訓:「するな」ではなく「見つけろ」

これらの研究結果から導かれる重要な設計原則があります:

LLMは「〜するな」という禁止指示を守れないが、「〜を見つけろ」という検出タスクは実行できる

この現象は、心理学で知られるアイロニック・リバウンド効果(Ironic Rebound Effect)13と類似した構造を持っています。

白熊実験との類似性

心理学者Daniel Wegnerの有名な「白熊実験」(1987)では、「白熊のことを考えるな」と指示された被験者が、かえって白熊のことを頻繁に考えてしまうことが示されました。Wegnerの皮肉過程理論(Ironic Process Theory, 1994)によると、思考を抑制しようとすると2つのプロセスが働きます:

  1. 操作プロセス: 禁止対象以外のことを考えようとする(意識的・努力を要する)
  2. 監視プロセス: 禁止対象が意識に浮かんでいないかチェックする(自動的)

皮肉なことに、監視プロセスが禁止対象を常にスキャンするため、かえってその対象が意識に浮かびやすくなります。

LLMにおいても類似の現象が観察されています。「SQLインジェクションを書くな」という指示は、モデルにSQLインジェクションという概念を活性化させ、目標達成のプレッシャーと相まって、かえって禁止行為を誘発する可能性があります。

解決策:タスクの再定義

人間の心理学研究でも、思考抑制の代わりに「代替思考への集中」が効果的であることが示されています。同様に、LLMエージェント設計では:

  • 抑制タスク(Generator内): 「SQLインジェクションを書くな」
  • 検出タスク(Verifier): 「SQLインジェクションを見つけろ」

禁止事項への対処は同一エージェント内での自己抑制ではなく、別のエージェントによる検出タスクとして実装すべきです。

flowchart TB
    subgraph Ineffective["❌ 非効果的:自己抑制"]
        A1["Generator"]
        A2["コードを書け<br/>SQLインジェクション禁止"]
        A3["禁止対象が活性化"]
        A1 --> A2 --> A3
    end

    subgraph Effective["✅ 効果的:検出タスク分離"]
        B1["Generator"]
        B2["コードを書け"]
        B3["Verifier"]
        B4["SQLインジェクションを検出"]
        B1 --> B2
        B2 --> B3 --> B4
    end

    Ineffective --> Effective
指示の種類対象心理学的類似効果
「〜するな」(抑制)Generator自身思考抑制 → リバウンド❌ 無視される
「〜を見つけろ」(検出)別のVerifier代替タスクへの集中✅ 実行可能

この原則がGenerator-Verifier分離の核心です。Generatorに禁止ルールを与えるのではなく、Verifierに「問題を見つける」という生成的なタスクを与えることで、LLMの得意な能力を活用できます。

なお、LLMの禁止ルール無視が人間のアイロニック・リバウンドと同一のメカニズムかどうかは未検証です。しかし、「抑制より検出」という設計原則は、2025年の複数の研究結果によって実証的に支持されています。

2. 暗黙の禁止事項の明文化

多くのセキュリティ脆弱性やポリシー違反は、「やるべきこと」のルールだけでは捕捉できません。例えば:

ポジティブルールのみネガティブルール追加
「入力をバリデートする」「SQLインジェクションパターンを許可しない」
「認証を実装する」「ハードコード認証情報を使用しない」
「ログを出力する」「機密情報をログに含めない」

3. 境界条件の明確化

Anthropicのエージェント構築ガイド1やOpenAIの実践ガイドが強調するように、モデルのアライメントだけでは不十分であり、構造的なチェックと行動制約が必要です。Verifierのネガティブルールは、この「構造的チェック」を実装するものです。

実装のポイント

基本構造:オーケストレータによる制御

エージェントSDK(LangChain、LlamaIndex、Claude Agent SDK等)では、オーケストレータがGeneratorとVerifierを呼び出し、ループを制御します。

flowchart TD
    User["ユーザー"] --> Orchestrator["Orchestrator"]

    subgraph Loop["Generator-Verifier Loop"]
        Orchestrator --> Generator["Generator Agent"]
        Generator --> Code["生成コード"]
        Code --> Verifier["Verifier Agent"]
        Verifier -->|"問題検出"| Feedback["フィードバック"]
        Feedback --> Generator
        Verifier -->|"合格"| Output["最終出力"]
    end

    Output --> User

Generatorのプロンプト設計

Generatorにはポジティブルール(〜する)のみを与えます。

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## 生成ルール
- 型ヒントを必ず含める
- docstringを含める
- PEP 8に準拠する
- エラーハンドリングを適切に実装する

禁止事項(「〜するな」)は含めません。Generatorは生成タスクに集中します。

Verifierのプロンプト設計

Verifierには検出タスク(〜を見つけろ)として指示します。

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## 検出タスク
以下の問題を**見つけて**報告してください:
- SQLインジェクションの脆弱性
- ハードコードされた認証情報
- 未サニタイズのユーザー入力
- コマンドインジェクションの可能性

「〜を書くな」ではなく「〜を見つけろ」という形式が重要です。

並列Verifierパターン

複数の観点から同時に検証する場合、並列実行が有効です。

flowchart TB
    Generator["Generator"] --> Output["生成物"]

    Output --> SecurityVerifier["🔒 Security"]
    Output --> StyleVerifier["📝 Style"]
    Output --> LogicVerifier["🧠 Logic"]

    SecurityVerifier --> Aggregator["集約"]
    StyleVerifier --> Aggregator
    LogicVerifier --> Aggregator

    Aggregator -->|"全合格"| Final["✅ 最終出力"]
    Aggregator -->|"いずれか不合格"| Generator

設計上の注意点

1. 無限ループの防止

Verifierが常に不合格を返す場合、無限ループに陥るリスクがあります。

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# 必須: イテレーション上限の設定
MAX_ITERATIONS = 3

# 推奨: 漸進的な許容度調整
def adaptive_checker(output, iteration):
    strictness = 1.0 - (iteration * 0.1)  # イテレーションごとに許容度を上げる
    return check_with_strictness(output, strictness)

2. フィードバックの具体性

VeriGuardフレームワーク14が示すように、検証失敗時には具体的な反例をフィードバックとして提供することが重要です:

「反復改良ループが中核をなします:検証が失敗した場合、検証器は具体的な反例を提供し、それがエージェントへの実行可能な批評として修正を導きます。」

3. コストとレイテンシのトレードオフ

Google Cloudのアーキテクチャガイド8が指摘するように:

「レビューと批評パターンは出力品質、精度、信頼性を向上させますが、この品質保証はレイテンシと運用コストの増加という直接的なトレードオフを伴います。」

用途に応じて、チェックの深さを調整する設計が必要です。

まとめ

Generator-Verifierパターンは、AIエージェントの品質と安全性を確保するための設計パターンです。

核心的な設計原則:「するな」ではなく「見つけろ」

本記事で最も重要なポイントは以下の一点です:

LLMに「〜するな」と指示しても守られない。代わりに、別のエージェントに「〜を見つけろ」と指示せよ。

2025年の複数の研究が示すように、LLMは明示的な禁止ルールを無視する傾向があります(o4-miniで92%、Gemini 2.5 Proで大半が禁止行為を試行)。これは心理学のアイロニック・リバウンド効果と類似した構造を持ち、禁止指示がかえって禁止対象を活性化させる可能性があります。

設計上の実践指針:

Generatorの設計Verifierの設計
ポジティブルールのみポジティブ+ネガティブルール
「〜を作れ」「〜があるか確認しろ」「〜を見つけろ」
禁止事項は含めない禁止事項を検出タスクとして実装

この非対称な設計により、LLMの得意な能力(生成・検出)を活用し、苦手な能力(自己抑制)に依存しないアーキテクチャを構築できます。

Generator-Verifier分離は、単なる品質向上のためのパターンではなく、LLMの本質的な特性に基づいた必然的な設計選択です。

参考資料

本文中の引用番号に対応する参考資料を番号順に記載しています。

その他参考資料(本文中で番号引用なし)

  1. Building effective agents - Anthropic (2024). 【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2

  2. Multi-agent systems - Google Agent Development Kit Documentation (2024). 【信頼性: 高】 ↩︎

  3. Reflection Agents - LangChain Blog (2024). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  4. SelfCheck: Using LLMs to Zero-Shot Check Their Own Step-by-Step Reasoning - University of Oxford, ICLR 2024. 【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2

  5. Dual-process theories of thought as potential architectures for developing neuro-symbolic AI models - Frontiers in Cognition (2024). 【信頼性: 高】 ↩︎

  6. Cognitive Duality for Adaptive Web Agents - arXiv (2025). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  7. Agent system design patterns - Databricks Documentation (2024). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  8. Choose a design pattern for your agentic AI system - Google Cloud Architecture Center (2024). 【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2

  9. Prompt Engineering for Manus 1.5: Structure, Guardrails & Evaluation - Skywork AI (2025). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  10. Agents with Formal Security Guarantees - Invariant Labs, ICML 2024. 【信頼性: 高】 ↩︎

  11. AI Agents Care Less About Safety When Under Pressure - IEEE Spectrum (2024). 【信頼性: 高】 ↩︎

  12. LLMs are Capable of Misaligned Behavior Under Explicit Prohibition and Surveillance - arXiv (2025). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  13. Ironic Effects of Thought Suppression: A Meta-Analysis - Wang, Hagger & Chatzisarantis. Perspectives on Psychological Science (2020). 【信頼性: 高】 ↩︎

  14. VeriGuard: Enhancing LLM Agent Safety via Verified Code Generation - arXiv (2025). 【信頼性: 中〜高】 ↩︎

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