Post
JA EN

「当事者意識を持て」は、範囲を言った瞬間に別の言葉になる

「当事者意識を持て」は、範囲を言った瞬間に別の言葉になる
  • 想定読者: 「当事者意識を持ってほしい」と言われている人、その言葉を使おうとしている管理職
  • 前提知識: 特になし
  • 所要時間: 約17分

概要

「もっと当事者意識を持ってほしい」。この一言は、職場でいちばんよく使われる要求のひとつだと思う。言う側に悪意はない。指示されたことしかやらない、担当の外で問題が起きても素通りする、そういう状況を変えたいという願いから出ている。

そして、その願い自体は正しい。自分の仕事を自分のものとして扱う状態は、心理的所有感(psychological ownership)という名前で測定されていて、従業員の態度と業績の両方に正の関連を持つことがメタ分析で確認されている1。目指す先は間違っていない。

問題は、この一言がまったく逆の2つの操作を同じ言葉で指してしまうことにある。

この案件は最後まであなたが見てください」は、範囲を指定して、その内側を本人のものにする操作だ。境界を引いている。対して「担当範囲だけ考えるな」は、範囲を外す操作になる。境界を消している。前者は当事者意識を育て、後者は責任だけを際限なく広げる。使われている言葉は同じなのに、向きが逆だ。

決定的なのは、境界を消しても権限は移らないという点だ。決裁は上長を通るし、原価も資金繰りも見せてもらえない。移るのは、うまくいかなかったときの当事者性だけになる。要求は上がり裁量は据え置かれる。これは職務ストレス研究が数十年にわたって最悪だと名指ししてきた「高い要求 × 低い裁量」の組み合わせだ2

そして日本の正社員雇用は、もともと職務の範囲を契約で区切らない設計になっている3。境界が薄い場所で最後の一枚を外すと、拡張を止めるものが何もなくなる。役割外の貢献が事実上の義務になった状態では、行動量を統計的に統制してもなお職務ストレスと離職意図が上がることが報告されている4

本記事は、この一語がどこで裏返るのかを見ていく。判別は最後まで2段でいい。範囲が名指しされているか。名指しされているなら、その中身(決定権・情報・分配)が渡っているかだ。

1. 同じ言葉が指している2つの操作

まず、実際の使われ方を並べてみる。

範囲が名指しされている使い方

  • 「この案件は最後まであなたが見てください」
  • 「このコンポーネントの設計判断は任せます」
  • 「顧客との折衝は、この条件の範囲であなたが決めてください」

範囲が名指しされていない使い方

  • 「もっと当事者意識を持ってほしい」
  • 「自分の会社だと思って働いてほしい」
  • 「他人事にしないでほしい」

前者は、少なくともどこまでが話の対象かが特定できる。受け取った側は、その内側と外側を区別して考えられる。後者は範囲が定義されていないので、どこまでやっても足りない。「当事者意識があれば、これくらいやるはずだよね」という形で、後からいくらでも基準を引き上げられる。

ここで言う「範囲を言う」は、2段からなる。まず名指し、つまりどの案件のどの判断についての話かを特定すること。そのうえで書き下し、つまりその範囲について何を自分で決めてよいか(決定権)、判断材料として何を見せるか(情報)、結果がどう返るか(分配)を明示することだ。案件名だけ挙げて決裁も数字も渡さないなら、名指しで止まっている。第3章で、この3つが渡らないと何が起きるかを見ていく。

意図して曖昧にしているとは限らない。ただ、運用上はその曖昧さが要求を無限に拡張できる装置として働く。

flowchart TB
    A["「当事者意識を持て」"] --> B["名指しと<br>書き下しがある"]
    A --> C["名指しが<br>ない"]
    B --> D["境界を引く<br>=権限の付与"]
    C --> E["境界を消す<br>=責任の付与"]
    D --> F["当事者意識が育つ"]
    E --> G["高い要求<br>× 低い裁量"]

以降では、なぜこの2つが正反対の帰結になるのかを見ていく。

2. 当事者意識は、命令では発生しない

2.1 生まれる経路は3つで、命令は入っていない

そもそも、人が何かを「自分のものだ」と感じるようになる経路は分かっている。

Pierce らの理論によれば、その経路は3つある。対象をコントロールできること、対象を深く知っていること、対象に自分を投入したことだ5。141研究を統合したメタ分析では、これに組織的公正・信頼・組織的支援・関係の親密さといった安全性の要因が加わることが報告されている1

なお同じメタ分析は、縄張り行動のように所有感がもたらす負の側面も報告している1。強ければ強いほどよいという種類の変数ではない。

そのうえで確認しておくと、命令はこのリストに入っていない。「持て」と言われることは、理論が挙げた3つの経路のどれにも当たらない。

だから当事者意識を育てたいなら、やることは決まっている。コントロールを渡す(決めてよい範囲を作る)。深く知る材料を渡す(判断に必要な数字を開示する)。投入した成果が本人に返る道を作る(評価と報酬に接続する)。範囲を指定した依頼は、この3つのうち少なくとも1つ目を実際に渡している。範囲を指定しない要求は、どれも渡していない。

2.2 押し付けられると、演技になる

自己決定理論から見ても結論は変わらない。

外から与えられた価値が本人のものになるには段階がある。十分に統合されれば自律的動機づけとして働き、ウェルビーイングとパフォーマンスの両方に効く。だが途中で止まると、「やらないと罪悪感がある」「評価されないのが怖い」という取り込み型の調整になり、これは負荷とバーンアウトの側に働く6

「当事者意識が足りない人」というラベルが査定や空気の中で使われる職場では、後者になる確率が高い。従業員は当事者意識を持つようになるのではなく、当事者意識があるように見せるようになる。

2.3 ジョブ・クラフティングとの違いは、主語

仕事を自分で作り変えることが職務満足を上げる、という研究群がある。担当タスク、人間関係、仕事の意味づけを能動的に組み替えるジョブ・クラフティングで、この観点は いい仕事は『選んで』手に入らない で扱った。

主張だけを取り出すと「与えられるのを待つな、自分で仕事を作り変えろ」となり、「当事者意識を持て」と外形がよく似てくる。

だが決定的な違いがある。主語が誰かだ。 自分の意志で仕事を作り変えるとき、その行動は自律的動機づけに支えられている。同じ行動が上から要求された瞬間、統制的動機づけに変わる6。押し付けられたクラフティングは、クラフティングの効果を持たない。

これは 「自分で選んだ熱湯」だけが人を強くする で扱った、負荷が人を強くする条件の話と同じ構造だ。同じ厳しさでも、統制可能で自分が選んだものかどうかで帰結が変わる。

3. 範囲を消すと何が起きるか

3.1 移るのは責任だけ

範囲を指定しない要求で、実際に何が動くのかを確認する。

誰かが自分の持ち場を自分のものとして判断するには、次の4つが要る。

  1. 意思決定権 — その範囲で自分が決められること
  2. 情報 — 何が起きているかを判断できるだけの材料があること
  3. 分配 — 結果の上振れと下振れが自分に返ってくること
  4. 責任 — 決めた結果を引き受ける立場にあること

前の3つを渡す作業には、組織経済学の古典的な裏付けがある。Jensen と Meckling は、移転コストの高い個別的知識が存在する場所に意思決定権を移すべきだと論じたうえで、移せば統制の問題が発生するので、業績測定の仕組みと報酬・罰の仕組みとセットで設計しなければならないと続けた7。渡すという行為は単独では完結しない。

4つめの責任は、単独で渡せるものではない。前の3つが揃ったときに、結果として立ち上がる。

では「もっと当事者意識を」という要求で動くのはどれか。意思決定権は動かない。決裁は相変わらず上長を通る。情報も動かない。原価構成も予算の余裕も共有されない。分配も動かない。上振れしたときの取り分もない。動くのは4つめの責任だけになる。

3.2 職務ストレス研究が名指ししてきた組み合わせ

Karasek の要求-コントロールモデルが重要だったのは、要求水準の高さそのものがストレスの原因だとは限らないと示した点にある。1979年の原著が測定しているのは精神的ストレイン(消耗、抑うつ、職務・生活不満足)で、高要求と低裁量が重なる象限でこれらが最も高くなる2。のちに循環器系疾患のリスクとの関連が疫学研究で報告され、高要求と高裁量が重なる象限では学習と活性化が起きるという仮説が定式化された2

責任だけを移す操作は、要求を上げて裁量を据え置く操作と同義だ。モデルが最悪だと名指ししている象限に、従業員を意図せず送り込むことになる。

なお、要求と裁量の交互作用については、レビュー研究で一貫した支持が得られているとは言えず、それぞれの主効果のほうが頑健だと報告されている8。本記事の主張は交互作用の存在に依存していない。要求が上がって裁量が上がらないなら、主効果だけでも負荷は増える。

3.3 役割の輪郭が消えること自体のコスト

範囲を消すことには、もう一つの副作用がある。役割の曖昧さが増えることだ。

役割曖昧性と職務満足の関連はメタ分析で r ≈ −.27 と報告されており、職務満足を説明する変数のなかでは無視できない負の要因にあたる9。この一言が役割曖昧性尺度を実際に押し上げるかを直接測った研究があるわけではないので、ここは推論になる。それでも、担当範囲の輪郭を消す操作が曖昧性を増やす側に働くと考えるのは自然だ。

当事者意識を高めるつもりの一言が、職務満足を構成する別の要素を削る可能性がある。

3.4 役割外の貢献が義務になると

組織市民行動、つまり役割の外側での自発的な貢献は、長く良いものとして研究されてきた。だが2000年代以降、その負の側面も測定されている。

Bolino と Turnley は、早く来る、遅くまで残る、家で仕事をする、私的な予定を仕事のために変更する、特別なプロジェクトを引き受ける、といった「個人的イニシアチブ」の水準が高いほど、役割過負荷、職務ストレス、仕事と家庭の葛藤が高いことを示した10

さらにその後の研究は、こうした役割外行動をやらなければならないという圧力そのものを変数として測定している。245名を対象とした調査では、この圧力は実際に役割外行動を増やす一方で、役割過負荷や労働時間を統計的に統制してもなお、仕事と家庭の葛藤、仕事と余暇の葛藤、職務ストレス、離職意図と関連していた4。行動量を差し引いてもなお害が残る、というのがこの知見の要点だ。

範囲を消す一言は、役割外の貢献を期待から義務へ変換する装置として、ほぼそのまま機能する。

4. 日本では、そもそも境界線が引かれていない

ここまでは国を問わない構造だが、日本の雇用慣行はこれを増幅する。

濱口桂一郎が整理してきた通り、日本の正社員の雇用契約は職務内容を特定せず、いわば白紙のまま会社のメンバーになる契約として機能してきた。職務、勤務地、労働時間のいずれについても無限定であることが典型とされる3

職務が契約で区切られている社会なら、「それは私の職務範囲外です」という反論が制度として成立する。無限定雇用ではその足場がない。もともと境界が薄いところに上限のない基準を持ち込めば、拡張を止めるものが消える。

この拡張を正当化する語彙として使われるのが「やりがい」だ。本田由紀は、適正な賃金や労働時間を保証しないまま「やりがい」を付加することで高水準のエネルギーと時間を動員する構造を、やりがいの搾取と呼んだ11。当事者意識という言葉は、このラベルの一種として使える。成長機会、裁量の実感、成果への誇りといった語彙で、無償の追加負担が意味づけられる。

日本の従業員エンゲージメントは、Gallup の最新調査で 8%(東アジア平均18%、世界平均20%)にとどまっている12。この種の国際比較には回答尺度の文化差という疑問がつきまとうが、その差が項目平均の異文化間比較を大きく変えるものではなかったという報告もある13。数値は幅を持って読むべきだとしても、精神論の投入量が足りないから低いのだと考える根拠にはならない。

5. 極端形としての「経営者目線」

範囲を消す方向を突き詰めると、「経営者目線を持て」という言い方になる。担当範囲どころか、全社の目的関数で判断せよという要求だ。

この極端形には、当事者意識にはない固有の問題が加わる。

渡そうとしても渡せない。 全社判断には全社の情報と権限が要る。現場のエンジニアが持っているのは、そのコードベース、その顧客、その障害についての個別的知識で、来期の資金繰りや他事業とのリソース競合は含まない。逆に経営陣は後者を持つが前者を持たない。どちらか一方の情報だけで「経営判断」を下せば、もう一方から見れば明白な誤りになる。

仮に本気で渡すと、組織が割れる。 全員が自分の持ち場から全社最適を判断し始めると、リファクタリングを優先するチームと機能追加を優先するチームが同時に「全社のために」動き、どちらも譲らない状態になる。悪意も怠慢もないのに調整不能になる。これは枠組みからの論理的な帰結であって、この現象自体が実証されたという話ではない。

つまり「経営者目線を持て」は、実現すれば組織が壊れ、実現しないなら責任の押し付けだけが残る二択になっている。当事者意識の場合は正当な形が存在するのに対し、こちらには存在しない。範囲をどこに置くかだけの違いで、要求としての性質が変わる。

当事者意識との違いは程度ではなく、範囲を職務レベルに置くか組織レベルに置くかだ。職務レベルなら、4条件を担当範囲で揃えることで原理的に満たせる。組織レベルまで広げると、満たす方法が存在しなくなる。

6. では、正当な形はどうなるか

範囲を指定した依頼が正当だとして、それだけで十分なのか。ここも確認しておく。

戦略目標が見えていること。 Boswell が line of sight と呼んだのは、従業員が組織の戦略目標を理解し、自分がそこにどう貢献できるかを把握している程度のことだ。フィールド調査では、この理解が高い従業員ほど職務態度が良好で、離職の指標も低いことが報告されている14。範囲を指定するだけでなく、その範囲がなぜその形なのかが見えていると効きが違う。

役割を広く定義する志向は、自律性を渡すと育つ。 Parker らは、役割を広く定義し予防を自分の責任と捉える志向を flexible role orientation と呼んだ。製造現場での2つのフィールド研究が示したのは、この志向の育ち方だった。新しい生産方式を導入するだけでも戦略的志向は育つが、柔軟な役割志向のほうは自律的な働き方の導入が追加的に必要だった15

呼びかけでは育たず、autonomy を渡して初めて育つ。1990年代英国の製造現場という文脈なので日本のIT組織にそのまま一般化はできないが、かなり直接的な傍証にはなる。

整理すると、こうなる。当事者意識は、コントロール・熟知・投資の機会を渡すと生まれる。戦略目標の理解は、情報を渡すと上がる。広い役割志向は、自律性を渡すと育つ。どれも要求して達成された例ではない。

7. 判別は、順に2段でいい

見るべきものは、順に2つでいい。範囲が名指しされているか。名指しされているなら、その範囲で決定権・情報・分配が渡っているかだ。

1つめで止まる要求は、そもそも実行できない。1つめを通っても2つめが空なら、名指しだけで中身が渡っていない状態になる。動くのは責任だけで、第3章で見た組み合わせに戻る。そして範囲が組織全体まで広げられた場合は、2つめを満たす方法が存在しない。第5章で見たとおりだ。

言う側にとっては、それが最小の作業になる。「もっと当事者意識を」と言いたくなったら、代わりにこう言えるかを確認する。どの案件のことか。どこまでを自分で決めてよいのか。どの条件を超えたら相談が必要か。判断に必要な数字のうち何を開示できるのか。うまくいったとき何が返るのか。

書けない項目があれば、そこが設計されていない部分になる。書けないまま「当事者意識を持ってほしい」と言っているなら、まず書けるようにするのが先の作業だ。具体的な設計手順は 「当事者意識を持て」と言う前に設計すること に分けた。

言われる側にとっては、この言葉への違和感を自分の未熟さの証拠だと解釈しないことが先に来る。違和感の出どころは、たいてい人格ではなく構造にある。範囲が言われていないなら、それを聞くところから始まる。「この案件のどこまでを自分で決めてよいですか」は、反抗ではなく、要求を実行可能な形に翻訳する作業だ。渡されていないものを特定して要求に変える手順は 「当事者意識を持て」と言われた側にできること にまとめた。

最後に、言い方について書いておきたい。範囲を言わない上司を評価するとき、「意識が低い」という語彙を使いたくなる。だがそれは、部下に「当事者意識が足りない」と言うのと同じ形の診断を、向きだけ変えて返しているにすぎない。これは意識ではなく作業の問題だ。どの案件か、どこまで決めてよいか、何を開示するか。どれもやったかやらなかったかで判定できる。

まとめ

「当事者意識を持て」という要求は、それ自体が悪いわけではない。目指している状態は、心理的所有感として測定され、望ましいと確認されているものだ。

問題は、この一語が正反対の2つの操作を指してしまうことにある。範囲を指定した依頼は境界を引き、その内側を本人のものにする。範囲を指定しない要求は境界を消し、責任だけを際限なく広げる。

境界を消しても、意思決定権・情報・分配は移らない。移るのは責任だけで、生まれるのは「高い要求 × 低い裁量」という、職務ストレス研究が最も危険だと指摘してきた状態になる。役割の曖昧さも増え、役割外の貢献が義務に変われば、行動量を統制してもなお職務ストレスと離職意図が上がる。

当事者意識そのものは、命令では生まれない。コントロール・熟知・自己投入という3つの経路を塞いだまま「持て」と言えば、育つのは所有感があるように振る舞う演技のほうだ。

範囲を組織全体まで広げた極端形が「経営者目線を持て」で、こちらは満たす方法が原理的に存在しない。全社判断には全社の情報と権限が要り、本気で渡せば局所最適が衝突して組織が割れる。

だから見るべきものは2つでいい。範囲が名指しされているか。名指しされているなら、その中身が渡っているか。前者が空なら、それを聞くところから始まる。

では、どうすればいいのか 本記事は原因の構造に範囲を限定しました。実務は立場によって別の話になるので、姉妹記事に分けています。

要求される側にできることは 「当事者意識を持て」と言われた側にできること に、範囲を指定する側の設計作業は 「当事者意識を持て」と言う前に設計すること にあります。

関連記事

このテーマに関連する他の記事もご覧ください:

参考資料

本文中の引用番号に対応する参考資料を番号順に記載しています。

  1. Psychological Ownership: A Meta-Analysis and Comparison of Multiple Forms of Attachment in the Workplace - Zhang, Y., Liu, G., Zhang, L., Xu, S., & Cheung, M. W.-L. (2021). Journal of Management, 47(3), 745-770. DOI: 10.1177/0149206320917195. 141研究のメタ分析。心理的所有感が態度・業績アウトカムと正の関連を持つこと、先行要因として統制・熟知・投資に加え安全性(組織的公正・信頼・組織的支援・関係の親密さ)が挙がること、および縄張り行動などの負の帰結も報告。【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2 ↩︎3

  2. Job Demands, Job Decision Latitude, and Mental Strain: Implications for Job Redesign - Karasek, R. A. (1979). Administrative Science Quarterly, 24(2), 285-308. DOI: 10.2307/2392498. 要求-コントロールモデルの原著。米国・スウェーデンの全国調査データにより、高要求×低裁量が精神的ストレインと最も強く結びつくことを示した。循環器系疾患リスクとの関連は Karasek, Baker, Marxer, Ahlbom & Theorell (1981), American Journal of Public Health, 71(7), 694-705、active learning hypothesis は Karasek & Theorell (1990) Healthy Work がそれぞれ出典。【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2 ↩︎3

  3. 『ジョブ型雇用社会とは何か——正社員体制の矛盾と転機』 - 濱口桂一郎, 岩波新書 (2021). 職務・勤務地・労働時間が無限定な「メンバーシップ型」正社員体制の整理。【信頼性: 高(専門家による著作)】 ↩︎ ↩︎2

  4. Citizenship under pressure: What’s a “good soldier” to do? - Bolino, M. C., Turnley, W. H., Gilstrap, J. B., & Suazo, M. M. (2010). Journal of Organizational Behavior, 31(6), 835-855. DOI: 10.1002/job.635. 245名。役割外行動への圧力が、役割過負荷と労働時間を統制してもなお仕事-家庭葛藤・職務ストレス・離職意図と関連。【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2

  5. Toward a Theory of Psychological Ownership in Organizations - Pierce, J. L., Kostova, T., & Dirks, K. T. (2001). Academy of Management Review, 26(2), 298-310. DOI: 10.5465/amr.2001.4378028. 心理的所有感が生じる3経路(コントロール・熟知・自己投入)を提示。【信頼性: 高】 ↩︎

  6. Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science - Deci, E. L., Olafsen, A. H., & Ryan, R. M. (2017). Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 4, 19-43. 自律的動機づけと統制的動機づけの帰結の違いを包括的にレビュー。【信頼性: 高】 ↩︎ ↩︎2

  7. Specific and General Knowledge, and Organizational Structure - Jensen, M. C., & Meckling, W. H. (1992). In L. Werin & H. Wijkander (Eds.), Contract Economics, pp. 251-274. Basil Blackwell. 意思決定権の配分は業績測定と報酬・罰の仕組みとセットで設計する必要があるという枠組み。【信頼性: 高(古典的学術論文)】 ↩︎

  8. Ten years on: A review of recent research on the Job Demand–Control (-Support) model and psychological well-being - Häusser, J. A., Mojzisch, A., Niesel, M., & Schulz-Hardt, S. (2010). Work & Stress, 24(1), 1-35. DOI: 10.1080/02678371003683747. 1998〜2007年の83研究をレビュー。加法的効果は十分なサンプルサイズがあればおおむね確認される一方、交互作用への支持は限定的。【信頼性: 高】 ↩︎

  9. Work role ambiguity, job satisfaction, and job performance: Meta-analyses and review - Abramis, D. J. (1994). Psychological Reports, 75(3_suppl), 1411-1433. 役割の曖昧さと職務満足の関連(r ≈ −.27)のメタ分析。相関であり因果を示すものではない。掲載誌は査読の質について議論があるため、単独の根拠としては扱わない。【信頼性: 中〜高】 ↩︎

  10. The personal costs of citizenship behavior: The relationship between individual initiative and role overload, job stress, and work-family conflict - Bolino, M. C., & Turnley, W. H. (2005). Journal of Applied Psychology, 90(4), 740-748. DOI: 10.1037/0021-9010.90.4.740. 個人的イニシアチブが役割過負荷・職務ストレス・仕事-家庭葛藤と正の関連。仕事-家庭葛藤との関連には性差が報告されている。【信頼性: 高】 ↩︎

  11. 本田由紀「「やりがい」の搾取——拡大する新たな『働きすぎ』」世界 762号 (岩波書店, 2007年3月) が初出。のち『軋む社会——教育・仕事・若者の現在』双風舎 (2008、河出文庫版2011) に収録。適正な賃金・労働時間を保証せずに「やりがい」を付加して高水準のエネルギーと時間を動員する構造の指摘。概説として やりがい搾取. 【信頼性: 中〜高(概念の出典は専門家の著作)】 ↩︎

  12. State of the Global Workplace: Japan Country-Level Data - Gallup, State of the Global Workplace: 2026 Report(2026年4月公表、データ収集期間2025年1〜12月). 日本のエンゲージメント率8%、東アジア平均18%、世界平均20%。【信頼性: 高(公式国際調査)】 ↩︎

  13. Response Style and Cross-Cultural Comparisons of Rating Scales Among East Asian and North American Students - Chen, C., Lee, S., & Stevenson, H. W. (1995). Psychological Science, 6(3), 170-175. DOI: 10.1111/j.1467-9280.1995.tb00327.x. 日本・台湾・北米の高校生を対象に、東アジア圏の回答者が中間の選択肢に寄る傾向を測定。同時に、この差は統計的に有意ではあるものの小さく、項目平均の異文化間比較を大きくは変えなかったと報告している。標本は就労者ではない点に留意。【信頼性: 高】 ↩︎

  14. Aligning employees with the organization’s strategic objectives: out of ‘line of sight’, out of mind - Boswell, W. R. (2006). The International Journal of Human Resource Management, 17(9), 1489-1511. DOI: 10.1080/09585190600878071. 戦略目標と自らの貢献経路の理解(line of sight)が、職務態度および離職関連の指標と関連することを実証。【信頼性: 中〜高(単一のフィールド研究)】 ↩︎

  15. “That’s not my job”: Developing flexible employee work orientations - Parker, S. K., Wall, T. D., & Jackson, P. R. (1997). Academy of Management Journal, 40(4), 899-929. DOI: 10.5465/256952. 英国製造業での2つのフィールド研究。新生産方式の導入だけでは戦略的志向は育つが、柔軟な役割志向の獲得には自律的な働き方の導入が追加的に必要だった。【信頼性: 高】 ↩︎

This post is licensed under CC BY 4.0 by the author.